随所に十分に伝わってくる信頼感

 宮本恒靖、ツネさんの「学ぶ人」を読み進めてしばらくのときが経った今。今回の通読は、最初から一言一句をていねいに追っていかず、敢えて気になった部分を拾い読みしていく感じで断片的に読んでいます。随所に十分に伝わってくる信頼感 "宮本恒靖、ツネさんの「学ぶ人」を読み進めてしばらくのときが経った今。今回の通読は、最初から一言一句をていねいに追っていかず、敢えて気になった部分を拾い読みしていく感じで断片的に読んでいます。タイトルごとにでもよし、試合ごとにでもまたよしという具合に。にもかかわらず、さすがツネさん、そしてその”ツネ”を追いかけ続けてきた筆者の佐藤さん。という感じが凄くありました。ツネさんの俯瞰的視点の持ちようも然ることながら、取材者である佐藤氏との信頼関係が、今回の断片的に拾い読みですら随所に表れているのがひしひしと伝わってきます。学びになるところが多々あるツネさんの在り方も凄いですが、そのときそのときのツネさんを懸命に誠実に捉えようとする佐藤氏もまた凄いものですね。氏のスパスパッと歯切れよく、それでいて的確に真髄に迫った書き方も然り。取材をするに当たり、言葉を選んで整然とていねいに答えてくれるという意味では扱いやすい選手であるものの、それ以上の内面に踏み込もうとすると宮本恒靖であることを頑なにまで守ろうとするゆえ、扱いづらさのあるツネさん、との佐藤氏の云いたいことや捉え方はじつに的確だと思いますね。そんなツネさんだからこそ、ツネさんから本の中に出てくることば以上に、「ディティールにこだわった」という佐藤氏の視点が見て取れます。氏のそうした視点があったからこそ、今回”ツネ”のそのときそのときの様子や心情がディティールを通し、よーく伝わってきた一冊でした。まだ著書全体をくまなく読み切ってはいません。しかしながら、”ツネ”の声のトーンの質感や去っていくときの背中での語り、ツネが好物のイタリアンやリキュール、カフェなどを飲食しているときの感じ、ツネの瞳から放たれるメッセージ、握手のし方、車の運転の仕方までもを通し、都度”ツネ”の様子が浮かぶようでした。それもこれも、佐藤氏との信頼関係があってこそのものだろうなと、伝わってくるものがことば以上にありました。私もライターとして、氏の洗練された切り口や視点を見習っていきたいと思います。

 

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